小周天を始める前に

小周天は、仙道(仙人への道程)の最初の一歩とも言うべき瞑想を基礎とする神秘行です。また、小周天は比較的簡単な瞑想法ながら数週間から数ヶ月程度の短期間で絶大な影響をもたらすので、他のヨガや各種の瞑想など「天地を満たす力」を感じとりその力の根源へと導く「神秘行」というもの全般の基本的な訓練としても適しているでしょう。
小周天は、黙想(坐忘)や瞑想(意識の集中による心身の変革)、また体の状態を整える神秘行的な生活、といった総合的な取り組みを通して実践していくもので、そのような実践を通して内なる「力」に向きあうことの意味を少しずつ理解していくことができるからです。

当コーナーでは、仙道に限らず神秘行に興味を持ち本格的に取り組んでみたい、という方向けに小周天で一通り気を巡らし温養しながら強化していくまでの過程をまとめてみるつもりです。小周天に取り組むことで、自らを、さらに天地を満たす「気」を実感し、意念でその気をある種の「力」として動かすことができるようになるでしょう。

ただし、小周天は心身に不可逆的、決定的な影響を与える可能性がある「本物」の神秘行です。いわゆる「(健康法としての)気功」と同じような感覚で取り組むことだけはやめてください(もちろん気功も体の「気」にはたらきかける以上、「安全」なものではありませんが、小周天は心身に気功より遥かに直接的で大きな影響を与えます)。
実際、私自身も十数年前に小周天を始めてから胃腸の不調や全身の異様な熱感、頭部の圧迫感など小周天によって様々な症状が続き、体調が全体に不安定化する経験をしています。健康法として取り組むなら、せいぜい気功や軽い(一般的な)瞑想くらいにしておいた方が無難でしょう。