現代仙道百科-心身改革の秘法体系-

-日々の生活で仙道を実践する小野田仙道の決定本-

何冊かの仙道書を著して来た小野田大蔵さんが、「既刊各冊で紹介した行法を一貫した行法体系として整理統合し、これを一冊にまとめて一冊で仙道の全貌がわかるという本を出そうと考え」て書いた「決定本」。国内では高藤聡一郎さんと並ぶ仙道研究家の集大成とも言うべき500ページ近い内容は、ボリュームたっぷりですね。

この本の最大の特徴は、「生活」全体にわたる身近な工夫を体系的に紹介している点でしょうか。もちろん玉液還丹(小周天)から金液還丹(大周天)、出神、といった仙道の本流ともいうべき瞑想法(神秘行)もかなり詳しく紹介されているのですが、それ以上に導引や服気、房中術といった生活上の工夫(健康法)や内観のような精神的修養の紹介が充実しています。また、仙道から見た病気の治療法も各種取り上げられ、純粋な仙道の瞑想修行にとどまらずもっと身近で日常的な生き方を通して「老いの不安や死の恐怖を克服して健康で長く楽しく、生きる(p22)」仙道の目的を達することを重視しているのでしょう。
その意味では、主に小周天など仙道の瞑想法、神秘行的な修行に興味がある人にとってはやや焦点のずれた「おまけ」的な内容が多いように感じるかもしれません。ただ、本当に修行中心の生活を送るにしても、あるいは日常生活の中で少しずつ修行していくにしても、生活全体で「仙道的生き方」を実践できるようになれば、その人はすでに「仙人」である、と言えるのかもしれませんね。
仙道の目的は、陽気を回すこと(小周天)でも先天の気を目覚めさせること(大周天)でもなく、「仙人」的な真に自由で楽しい生き方を実現することなのですから。

導引や服気で自然に気を養い、坐忘や内観で自らを見つめなおす。そんな日々を積み重ねていきながら、小周天でゆったりと気をめぐらすのも良さそうですね。また、そうした生活こそが、実は「仙人」への近道でもあるのかもしれません。

現代仙道百科―心身改革の秘法体系
小野田 大蔵著、白揚社、定価3675円

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