小説

風の大陸
著・竹河聖 富士見ファンタジア文庫

超古代、自然環境の変化などで滅びに直面しつつある「大陸」。山奥でケイローン(半獣半人の伝説的存在)に育てられ強力な魔力を持つ主人公テイーエは、17歳で山を降りて旅を始めます。
ほとんど「人」を知らなかったティーエですが、仲間たちと出会い、旅を続けるうちに人のさまざまな感情に触れ、時にその感受性と魔力に振り回されることも。

世界の運命を左右するという「世界」の相を持つテイーエは、地方の国王や大帝国の皇帝 、貴族、神官たちの注目の的となり、陰謀や戦いに巻き込まれていきます。さらに、ティーエ自身、世界の相を持つ自らの役割を探し出すように。ティーエの魔術と仲間たちの剣で、襲いかかる敵を倒していくティーエ一行の活躍と、その背後で大陸に迫り来る危機がどうなるのか、じっくりと付き合ってみたい大河ファンタジー。
典型的な「剣と魔法の世界」ですが、政治や文化、精霊、魔術などの世界設定がしっかりしていて読み応え十分です。

ナルニア国ものがたり全7巻
著・C.S.ルイス5334円

正統派のファンタジー連作。偉大なライオン、アスランによる創世から「最後の戦い」の終末まで、華やかな剣と魔法の世界が描かれています。
このシリーズでおもしろいのは、現実世界から迷い込んだ少年少女が主人公になっている点。いまいち面白くない現実世界から、驚異の魔法や異種族が当たり前の存在となっている「異界」に迷い込んで、アスランの加護のもとそこの住人とともに壮大なスケールの冒険を繰り広げます。

小説 ドラゴンクエスト
著・高屋敷 英夫 エニックス980円

さまざまな意味で日本のゲーム史に残るであろうRPG「ドラゴンクエスト」を元にした小説。
竜王に苦しめられるアレフガルドで、伝説の勇者の血を引く少年が竜王を倒す旅に出る…、と基本的な流れに沿っていて原作世界との違和感もありませんが、少年を助ける若者などオリジナル要素もあります。ストーリーとしては、「少年が姫君を救いドラゴンを倒して勇者になる」というまさに「ファンタジーの王道」そのものですね。特に、ローラ姫と出会い王女の愛(^^;を得ていく過程が良い感じ。

光に導かれて「太陽の石」と出会う場面や、ガライとの語らいなどファンタジーならではの「神秘体験」もごく自然に取り込まれ、物語の世界に浸ることができます。

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