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老化を防ぐ「サーチュイン遺伝子」のアンチエイジング効果

老化による細胞の劣化を修復する「サーチュイン遺伝子」。サーチュイン遺伝子を活性化させる効果を持つとされるレスベラトロールを含むサプリメントや健康食品が氾濫するなど、アンチエイジング業界の思惑にも振り回されながら話題になっていますね。

ただ、サーチュイン遺伝子については空腹状態が続くと発動するらしい、ということはわかっていたものの具体的な効果の仕組みは不明でした。動物実験でも、えさを減らすことによる老化防止効果が観測されることはありましたが、具体的にどんな作用で細胞の老化が防止されたり「巻き戻される」アンチエイジング効果が発揮されるのか、わからなかったのです。

しかし、2013年にアメリカのワシントン大学で今井真一郎准教授らによる研究で、そのサーチュイン遺伝子の仕組みが一部解明されたそうです。

遺伝子操作によって、視床下部(脳の部位)でサーチュイン遺伝子が働くようにしたマウスを作り出し、飼育を続けたところ通常のマウスに比べ「不老長寿」の傾向が見られたそうです。具体的には、高齢になっても活動が衰えず、寿命もやや長くなる健康的な長寿効果が見られました。

研究グループでは、視床下部でサーチュイン遺伝子が働くと筋肉組織に特別な信号が送られるようになり、これが数々の効果をもたらす原因ではないか、と分析しているようですね。

サーチュイン遺伝子は、空腹状態が続くと「特別な状態」に移行することで生き延びるための遺伝子と考えられています。活動レベルを調整して「効率化」するというか悪条件でも活動が続けられるよう体の「調整能力」を引き上げているのでしょうか。そして、それが結果的に老化(細胞の劣化)を修復し、年齢経過による活動の低下をも防ぐ、と。

今回はマウスによる動物実験での研究ですが、人間でも同じようなアンチエイジング効果を伴う「緊急調整システム」が働く可能性があるのかもしれません。