最新医療と健康ニュース

がん細胞の血管新生に関与するたんぱく質

がん細胞が体内で増殖する過程では、養分を取り込むために周囲の組織に毛細血管を作り出します(血管新生)。このほど、がん細胞などによる血管新生に関与すると思われるたんぱく質を、名古屋大大学院医学系研究科の高橋雅英教授と室原豊明教授らが発見し、2008/2/10付のイギリス科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」電子版に発表したそうです。

このたんぱく質はガーディンと呼ばれ、3年前に発見されました。このガーディンが血管を作る血管内皮細胞に多く見られることから、今回は遺伝子操作を行ってガーディンを欠損させたマウスを作り出し、毛細血管が形成される様子を調べたそうです。その結果、網膜や脳の毛細血管が通常より4割ほど少なくなったとか。

すでに、血管新生を抑制する抗がん剤も開発されていますが、今回の発見でこうしたがん細胞の血管新生を抑える方向のがん治療法がさらに発展していくかもしれません。また、毛細血管が増えて失明につながる糖尿病性網膜症の治療にも道を開く可能性があるそうです。